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『NYと日本: 帽子の好みについて一考』
2005/10/10 UP

十月になってすっかり涼しくなり、東京は秋らしくさわやかな日が続いています。友人たちからのメールによるとニューヨークもすっかり秋のようですね。

さて今日は帽子の話。私が本格的に帽子の仕事を始めてから今年でもう9年になります。帽子を作り始めたきっかけは、マンハッタンにあるファッション系の大学「FIT」で帽子のクラスを取ったこと。その後、自分なりにサンプルを作ってSOHOの『The Hat Shop』というお店に置いてもらうようになりました。 NY にいたときは主に帽子専門店やセレクトショップでの販売、そして個人の方向けにオーダーメードの帽子を作っていました。

日本へ帰ってきてからも帽子のお仕事を続けているのですが、だんだんと日本とNYでは帽子の好みがかなり違うことがわかってきて、いまさらながら“なるほど〜”と思ってしまう今日このごろ。そこで今回はこの違いについてお話ししたいと思います。

まずNYの特色といえば、秋から冬にかけての寒い季節が長いため、ちょうど今頃のこの時期に帽子がとてもよく売れます。この季節に関してはファッションよりも防寒のために帽子をかぶる人が多いのが寒い東海岸ならではの特徴です。そして季節の行事に合わせて帽子をかぶるというのもNYならでは。春は例えばイースターの時期は華やかで個性的な帽子をかぶる人が多く、帽子の個性を競うパーティーなどもあります。大晦日なら、カクテルハットとよばれる小さな帽子とヘアーアクセサリーの中間のような特別な帽子をかぶり、真夜中のパーティーに出かけるという小粋な人がいました。帽子デザイナーでもデザイナーというよりはアーティスト的な人は、このカクテルハットを作る人が多いのが特徴。ビジネスというよりクリエイティブさが発揮できる分野です。私もNY時代は毎冬10−20個くらいのカクテルハットを作っていましたが、日本ではほとんど需要がないので去年は数個作っただけでした。

NYでは色も黒茶色といったものだけでなく深紫とか深緑、ボルドー色など、髪や肌の色を反映した綺麗な色が好まれます。NYはシックな好みのお客様が多かったのですが、私の友人でジョージア州とかルイジアナ州、フロリダ州といった南部の地域を拠点にしていた帽子デザイナーのMarieさんは、シックとはほど遠い、金や銀、羽根飾りのついた華やかな帽子ばかりを作っていました。どれも「私を見て!私は他の人と違うわよ〜!」という主張が見え隠れする個性的な帽子。アメリカの中だけでも北部と南部とでは、好みがぜんぜん違うのです。また、一般的にヨーロッパやアメリカは帽子文化が長いので、形のしっかりとした折りたためない帽子が主流だったのですが、最近の流行や洋服のカジュアル志向の影響もあってこの何年かは折りたためるソフトハットやニットハットなどの人気が高くなっていました。

そして日本では、 冬がそんなに寒くないこともあり、NYとは反対に圧倒的に春夏に帽子をかぶる人が多いのが特徴です。いつもは帽子なんてかぶらない人でも春夏は日焼け帽子のためにかぶるということなのです。そのため春から夏にかけて布やストローの帽子が人気です。日本でも最近は帽子やヘアーファッション小物が流行っていることもあって、一昔前よりも帽子をかぶる人が増えています。日本と一言で言っても長い島ですから、場所によって用途や好みが違ってきます。興味深いのは名古屋エリアが特に帽子の需要が大きいこと。雑誌で読んだところ、名古屋エリアは日差しが日本でもとびきり強いので日よけ帽子をかぶる人が多いとか。あと大きなリボンのようなお嬢様ファッション、ゴージャス系ファッションも名古屋ならではの好みなのだとか。そう言われれば私の友人でも名古屋生まれの人は美人やおしゃれさんが多い気がします。今年は雑誌でもよく名古屋人のファッションが取り上げられていました。今度仕事で名古屋に行くときは、きしめんだけでなくおしゃれチェックもしなくては!と思っています。

NYにいた頃は個人の方にカスタムメイドの帽子を作るのもとても楽しい仕事でした。私の自宅兼アトリエに来ていただいて、サンプルからその方に一番あう形を選び、色を決め、デザインを決めていくという作業は、その方に似合う帽子を作るというだけではなく、その方の個性そのものを知ることができるとてもパーソナルなひとときでした。そのせいかどうかはわかりませんが、カスタムメイドの帽子をかぶったときのほうが、出来合いの帽子をかぶるときよりも、ずっとその人のパーソナリティを表現できるから不思議です。なかには静かで大人しいタイプの方が、実は好みはとても華やかで個性的な帽子を選ばれたり、旦那様が奥様にこれが似合うよと次々に帽子と洋服をとっかえひっかえファッションショーになったりと、いろんな発見やハプニングがあって楽しかったです。帽子上級者の方は、コートやジャケットを何着か持ち込み、それぞれのアウターにあう帽子を注文していました。今となっては懐かしい話です。将来はまたアトリエを持ち、カスタムメイドの仕事もしたいなと夢が膨らみます。

まだまだ帽子ストーリーはたくさんありますが、実はニュースがあります。この10月15日と16日に『Barney's New York』銀座店にて、私の帽子のトランクショーを催します。銀座にお寄りの際は、ぜひお立ち寄り下さい。いろんな帽子を用意していますので、お手にとってかぶってみてくださいね!

NYにいた私が『Barney's New York』でトランクショーをするのもきった何かの縁。帽子作りを始めたときはこんな長く作り続けると思っていなかったけど、今はおばあさんになるまでシックで素敵な帽子を作りたい!と張り切っています。そういえばNYはもうすぐハロウィーンですね。私もNYにいた頃のように小さいながらお化けかぼちゃを玄関に置きました。

The Hat Shop: http://newyork.citysearch.com/profile/7108791#editorialreview
Barney's New York: http://www.barneys.co.jp/stores/ginza.html

***写真はこの春夏にヒットした帽子です。

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Photo by Hiromichi
 

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