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From: Maki Sano
Sent: 2008/03/05
To: Everyone  
Subject: ヒロシマ報告(後半)〜「いつか来る平和」はない

遅くなりました〜 Maki from New Yorkです。
前回に引き続き、ヒロシマ報告をお届けします。

原爆資料館を訪れたあと、同行の外国人たちに、
ヒロシマで感じたことや平和について思うことを
一言ずつ書いてもらいました。
今回はそのメッセージをいくつかご紹介しましょう。

ヨーロッパ人が書いたものが多いので、
日本人には馴染まない表現があるかもしれませんが
(え、それは訳が悪いからだって? ^^;)
まあ、そのへんの違和感も含めて味わってみてください〜。


■人間にひそむ非人間性

前回のメールで私は、資料館の第一印象として、
「原爆は怖いが、そんなものをつくり投下してしまう人間、
戦争へと突き進む流れの中で正気を失っていく人間の方が怖い」
というようなことを書きましたが、同じように感じた人は
少なくなかったようです。

「ここを訪れて、トラやライオンが羨ましくなったよ。」
(人間の方が猛獣よりはるかに野蛮だ、という意味だそうです)

「天才と呼ばれる人々がこんなことを可能にしてしまうなら、
天才でも何でもない愚か者の集団は一体何をしでかすだろう。
そう考えるだけで怖くなります。」

「広島の街は美しく、活気にあふれ、
ここで何が起こったかを忘れさせてしまうほどです。
だからこそ、広島を訪れるすべての人は資料館に足を運ぶべきです。
人間の持つ非情な一面を思い出すために。
資料館に行くと、人は誰でもああいった非情なことをしでかす
可能性があるということがよく分かります。」

「人間が人間を滅亡させる、
そんなばかげた振る舞いをするなんて信じられない。
エゴイズムは人間にもともと備わっている本性だけど
それに打ち勝つのが私たちのつとめでしょう。」

「私たちはもうとうに世界平和を実現していて良いはずなのに、
いまだに愚か者たちが支配を続けているのは残念です。」

「1945年当時、私は20歳でした。
ヒロシマの惨事に衝撃を受けたことをとてもよく覚えています。
でも、人々は衝撃を受けながら同時にこうも思ったのです。
この惨事が今後の戦争を食い止めてくれるかもしれない、と。
それは偽りの希望でした。原爆投下はその後、
ますます多くの国を核配備させることになったのです。」


■ありがとうヒロシマ

廃墟から見事によみがえった広島の街や、
重い過去を背負いながらも「自分が言わなくては」と
世界に向けて声をあげ続ける広島市民の中に
希望を見た参加者もいました。

「原爆が投下され、街は墓場と化した。
崩れ落ちた塔に、放射線が残った。
木が失われ、家が失われ、何より人々が失われた。
だがしかし、この悲劇の中で生まれた新しい力は
絶え間ない流れとなり、やがて街をよみがえらせた。
こうして、引き裂かれた都市ヒロシマは再生した。
祈ろうではないか、この体験が人類を世界平和へと導くことを。」

「世界大会を機に訪日すると決めたときから
広島には必ず来るつもりでした。
原爆の対人使用は決してあってはならないこと、
人類の犯し得る最も大きな過ちです。
このような非人道的な過ちを二度と起こさぬようにと
全世界に向けて訴える場をつくってくれたことに感謝します。」

「ヒロシマ訪問はとても心打たれるものでした。
あんなにも多くの人々が、あんなかたちで命を奪われるなんて…。
もし、もっと大勢の人が平和公園と原爆資料館を訪れ、
ここで何が起こったかを知ることができれば、
核兵器反対の声をあげる人もきっと増えるはずです。」

「日本の文化には、『自分よりも他人を大切にする』という
強い原理があるみたいだね。もし世界中の人々が完全に偏見から解き放たれ、
他人のことを、せめて自分自身と同じくらい大切に思える日が来たら、
その時こそ僕たちは平和を手にし、ヒロシマの再来を恐れることも
なくなるんじゃないかな。」


■平和は闘いだ!?

あまり予想していなかったことですが、
参加者の中には、ヒロシマで見聞きしたものに触発されて、
具体的な行動を決心したり、提案してくれる人が少なくなく、
なかには私に「あんたがやれ」と熱心に勧めてくれる人もいました ^^;)

「資料館を訪れている間、私の気持ちは沈み込んでいました。
見るもの、読むもの、ひどかった。私が達した結論は、
私たちは、世界の国々に核兵器を持たせないために
できることは何でもしなければいけない、ということです。」

「広島は世界に向けてメッセージを発するのにふさわしい場所だと思いました。
エスペラント世界大会はこの街を公式大会都市の一つとすることを宣言し、
ここから世界に向けて、核の放棄とプルトニウム技術拡散防止の
メッセージを発信するべきです。」

「毎年8月6日には、あらゆる雑誌やテレビ番組でヒロシマを取り上げ、
平和を訴えることが重要です。生き残った人々への支援も必要です。」

「1945年8月6日、午前8時15分、ヒロシマで起こったことを
私は決して忘れることができません。私たちは、いかなる国ももう二度と
原爆で人を殺めてはいけないと訴えなければなりません。
何度でも繰り返しましょう。ヒロシマの再来を許してはならないと。
この罪を次の世代にも忘れさせないと。」

「戦争の主な原因は、止むことのないエゴイズム、私利私欲、権力への執着、
すなわちミリタリズムにある。それらは平和への責任を負おうとしない。
人類は平和のためにこそ闘わなくてはならないというのに…。
問題は、誤った方向へとつき進む人類の進化を止めるため、
抑圧された人々が力を合わせて何を果たし得るか、である。」

「平和公園が気に入りました。
美しく、気持ちよくて、心打たれる場所でした。
資料館については、もっと時間をかけて見たかったですね。
でも、原爆の惨状については長年本で読んだりしていたので、
そのおかげでよく理解できました。
フランスでも多くの人々が、平和を求め、より良い世界を目指して、
原爆その他に反対して闘っています。
EU内ではすでに平和な暮らしが営まれています。
日本は自国の平和憲法を守ってください。」


***


被爆者への支援や、次世代に語り継ぐこと、9条のこと…
日本人でさえしっかり考えられずにいることを、
いろいろ考えてくれているんだなあと感心する一方で、
平和を訴える文なのに、「闘い」を意味する「batali」という単語が
ちらほらと使われていることに、へえ、と思わされました。
どうも多くの(少なくともツアーに参加した多くの )ヨーロッパ人にとって、
平和は祈ったり願ったりするものではなく、
「闘って勝ち取るもの」であるようです。

もちろん彼らが言う「闘い」とは戦争のことではなく、
戦争に反対し平和を実現するためのさまざまな努力のことですが、
なんだか彼らから「そういった努力もせずに平和が手に入ると思うな」
と言われているような、ただ願うだけで平和主義者を自負している
私たち日本人の「ぬるさ」を突きつけられているような気がしました。

最後のフランス人女性のメッセージには
「EU内ではすでに平和な暮らしが営まれています」とありました。
無論、本当に現在のEUが真の平和を実現しているのか? 
と問われれば、みなさんさまざまなご意見がおありでしょう。
ただ、陸続きのヨーロッパ大陸で長い争いの歴史を経てきた彼らが、
今、多民族の調和をめざして葛藤中であることは確かです。
そしてその葛藤はきっと、将来EUの大きな力となっていくのでしょうね。

黙っていては何も変わらない。(どころか今の日本では悪化の一途?)
「いつか来る平和」などない。あるのは「自分でつくる平和」だけ。
そう思っておいた方が賢明なようです。

「デモでピースを叫ぶのも悪くないけど、
(いやほんと、悪くないですよ。再来週のイラク戦争5周年には
マンハッタン14丁目をイーストリバーからハドソンリバーまで
人間の鎖で結ぶ「リバー トゥ リバー、ハンズ フォー ピース」という
壮観なデモもあるんですよ〜。ご都合の合う方はジョインしてみては? ^^)Y
もっと何か、今の危ない流れを止めたり変えたりするのに役立つ何かが
できるはずなんだよねー。」

↑こう前半のメールに書きましたが、今、ささやかながら、
その「何か」のひとつに手をつけてみようと、
あちこちにちょびっとずつ預けてあった銀行口座のお金を
動かしやすいようひとつにまとめ始めました。

なんの話かと思われるかもしれませんが、
要するに、銀行に預けているあいだ何に使われているのか分からない
(とりわけ大手銀行の場合、テロとの戦いでボロ儲けの軍需産業や、
石油・原子力などの非グリーンエネルギー産業への投資に使われている
ことが十二分に考えられる)銀行口座のお金を口座から引っこ抜き、
利子が低くても最悪無しでもいいから、エコでピースな世の中を
つくるためにがんばっている企業や団体を支援してくれる銀行に
移しちゃおう! ということです。

1年半ほど前に自宅の電気を100%グリーンエネルギーに変えたのも
ほぼ同じ理由ですが、自分では何も悪いことをしていないつもりでも
寝ている間に、仕事をしている間に、テレビを見ている間に
知らず知らず戦争や温暖化の片棒をかついでいる自分がいる…
その気持ち悪さをまず何とかしたいのです。これって逆に言えば、
いったん電気をグリーン化したり、SRI(社会的責任投資)系の
金融機関にお金を預けてしまえば、寝ている間も自分のお金が少しずつ
エコでピースな世の中をつくっていってくれるということ。
こういう楽ちんかつインパクトの大きい一歩を踏み出すのが、
私は大好きです。

といっても、まだあちこちにとっ散らかっていた口座をまとめ始めただけで、
預け先のめどもついていません。同じ預けるならより良心的なところに
預けたいし、少額とはいえ汗と涙で(?)かせいだお金ですから、
いくら良心的でもすぐ倒産しちゃうようなところには預けたくないですしね。
ま、追い追いネットで調べたり人に聞いたりしてゆっくり探してみます。


それではまた、近いうちに…。
それまでどうぞお元気で!

Peace.
Always,
Maki


PS
前編で触れたエスペラント紹介ビデオの制作者ピロン氏が、
1月22日、76歳で亡くなられました。心からご冥福をお祈りします。
ピロン氏の死を悼むウェブサイトには、地元スイスはもとより
ヨーロッパ全土、アジア、南米、中東、アフリカまで
世界中のエスペランティストから追悼や感謝、友情のメッセージが
(もちろんみんなの共通言語エスペラントで)次々と寄せられていて、
「やっぱエスペラントってすごいかも…」と思わされました。


エスペラントについて(日本エスペラント学会)
http://www.jei.or.jp/
クロード・ピロン氏のエスペラント紹介ビデオ
http://dotsub.com/films/thelanguage/index.php?autostart=true&
language_setting=ja_1683

広島原爆資料館(平和記念資料館)
http://www.pcf.city.hiroshima.jp/
イラク戦争5周年デモ「リバー トゥ リバー、ハンズ フォー ピース」
http://www.unitedforpeace.org/article.php?list=type&type=61

   
   
*このコーナーに関するご意見・ご感想、まきさんへのお便りは こちらからお送りください。

Maki Sano プロフィール:
自然と平和を愛するコピーライター。エスペランティスト。ニューヨーク在住。
「メッセージ from NY」のコーナーでは、Makiさんが配信しているメールニュース『NY Estuary』を転載しています。メールニュースを直接受信したい方は、こちら↓まで。
http://www.emaga.com/info/
nyestuar.html
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[ヒロシマ報告(後半)〜「いつか来る平和」はない]
2008/02/26
[ヒロシマ報告(前半)〜資料館にて]
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[祝・ゴアさん&新刊本!]
2007/09/11
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