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From: Maki Sano
Sent: 2008/02/26
To: Everyone  
Subject: ヒロシマ報告(前半)〜資料館にて

お元気ですか? Maki from New Yorkです。

今日は、去年の夏35人の外国人グループに混じって訪れた
ヒロシマの報告をしましょう。

早いもので、あれからもう半年が経つんですね。

以前メールにも書きましたが、このヒロシマ行きは、
昨年8月に横浜で開催された第92回世界エスペラント大会の
大会前イベント「外国人向け日本観光ツアー」
の一環として実現したものです。

世界大会に参加するため60の国と地域からやって来た
2,000人近いエスペランティストのうち、10カ国35人が、
東京〜広島〜宮島〜倉敷〜姫路〜京都〜横浜の4日間の道のりを、
エスペラントという一つの言語を使ってともに旅しました。

どの都市でも地元の日本人エスペランティストたちが
温かく迎えてくれ、名所を案内してくれたり、
伝統芸能を見せてくれたり、名物料理を出すお店に
連れて行ってくれたりと、心づくしのもてなしをしてくれました。

毎年各国持ち回り(今年はオランダ、ロッテルダムです)
で開かれるエスペラントの世界大会では、
毎回このような外国人向け観光ツアーが用意されており、
私も過去に何度か海外で参加した経験がありますが、
この日本でのツアーほど現地の人たちに良くしてもらったことは
なかったんじゃないかと思います。一緒に参加した外国人たちも
日本の人々の面倒見の良さにいたく感激していました。

……と、ここまで読んで
「エスペラントって何だっけ?」
とつぶやいたモグリな(?)アナタ、

エスペラントは、世界中の人々が自分の言語を守りながら
外国人ともできるだけ簡単かつ平等に意思疎通できるようつくられた
いわば民際用の橋渡し言語。世界遺産で有名なユネスコも
エスペラントの業績がユネスコの目的と理想に一致すると宣言しています。

よろしかったらこのエスペラント紹介ビデオ(8分)をご覧あれ。
http://dotsub.com/films/thelanguage/index.php?autostart=true
&language_setting=ja_1683

国連やWHOで複数言語の通訳を務めた後
ジュネーブ大学で心理学を教えていたクロード・ピロン氏が、
エスペラントvs 英語の視点から分かりやす〜く解説してくれます。
ちなみにこのビデオの日本語字幕は、
パリ在住のエスペランティストと私が協力してつくりました (^_^)Y

さて、脱線しましたが、ヒロシマ報告です。
ツアーに参加したのは「10カ国35人」と書きましたが、
10カ国の内訳は、人数の多い順から
イタリア、ドイツ、フランス、イギリス、
イスラエル、フィンランド、デンマーク、
アイルランド、カナダ、そして日本(私1人)
……と、ヨーロッパ勢が圧倒的でした。

本当は、原爆投下の当事国であるアメリカや
ヒロシマで2万人近くの被爆者を出した朝鮮、
その他、西洋圏以外の国からの参加者が
もっといてほしかったなーと思いますが、
もし自分がアメリカや朝鮮半島の人だったら、
やはり他国の人たちとヒロシマを訪れるのは
(同じ言語で分かり合える人たちと一緒でも、
いやもしかしたら分かり合えるからこそ?)
心情的につらいものがあるかもしれません。
なにより、日本への渡航費や日本での滞在費のほかに
さらに10万円も出して大会前ツアーに参加しよう
なんて外国人は、よほどのお金持ちか
よほどの物好き(私ですね、外人じゃないけど ^^;)だけ、
ってことかもしれません。


ツアーに参加したみなさん

ともあれ、
平和記念公園を望むこぢんまりとしたホテルに宿をとった
我々35人は、広島エスペラント会のみなさんのご案内で
平和記念公園内にあるたくさんの慰霊碑をまわった後、
閉館時間ぎりぎりまで原爆資料館(平和記念資料館)を見学して、
この、人類史上初の原爆投下によってもたらされた大惨禍の
ほんの一部分をかいま見ることができたのでした。

熱線で溶けたガラス、焼けこげたお弁当箱、
放射能をたっぷりと含んだ真っ黒い雨筋の刻まれた壁……
原子爆弾という大量破壊兵器の恐ろしさを肌で感じさせる展示を前に
私が感じていたのは、そんなものをつくってしまう人間の恐ろしさ、
それを人が暮らす都市の上に落とそうと発想する人間の恐ろしさ、
爆弾の効果を測定するのにちょうど良いサイズの都市を入念に選び出し、
周到な計画とコスト計算のもと投下プロジェクトを遂行する人間の恐ろしさ、
そこに至る前に「何かがおかしい」と我に返れない人間の恐ろしさでした。

そして残念ながら、人間が持つその恐ろしさは、
ヒロシマの悲劇から60年以上たった今の時代、
ますますもって健在です。

原爆ドーム

ユニセフの仕事などで紛争の記事をよく目にするようになって、
ボーツと生きてきた私にもなんとなく分かってきました。
たいがいの戦争には、戦争が起きることで得をする人たちがいて、
人の心に憎しみを植えつけたり煽り立てたりするプロがいる。
市民は、自分がそんなやつらの食いものにされているとはつゆ知らず、
憎まなくてもいい相手を憎み、傷つけ、殺し合っている。

私たちフツーの人々は、もうそろそろ、食いものにされたり
まんまと乗せられたりすることから卒業しなくてはいけません。
自分の生き方は自分で決める。あの人が好きか嫌いかも自分で決める。
誰かが巧妙に組み立てたシステムの中で、システム自体を疑ってみる。

戦争屋さんたちは用意周到で合理的なビジネスマンですからね。
祈りや願いや善良なる想いだけではとうてい太刀打ちできません。
デモでピースを叫ぶのも悪くないけど、もっと何か、
今の危ない流れを止めたり変えたりするのに役立つ何かが
できるはずなんだよね……

私がそんなふうに考えていたとき、
ともにヒロシマを訪れた外国人の一行は、
やはりそれぞれにいろんなことを考えていたようでした。

とはいっても、
忙しいツアー日程の中でゆっくり想いをシェアすることは
なかなかに難しく(なんせ原爆資料館を見学した後は
「お好み村」で広島風お好み焼きのディナーですからね ^^;)、
また、広島はツアー最初の訪問地で、
みんなまだお互いに気心が知れていないこともあり、
「戦争と平和」というセンシティブな話題を
おおっぴらに語り合える雰囲気はありませんでした。

でも、みんなが感じたいろいろな想いをそのまま自国に
持って帰ってもらうだけではあまりにもったいない。
みんなだって心の中では、他の人がどう感じているのかを
知って、このもやもやした想いにかたちを持たせたり、
いろんな意見の中に驚きやひらめきを得たりしたいはず。

そう思って、みんなに一言ずつ、ヒロシマで感じたことを
カードに書いてもらうことにしました。

ここに、みんなからのメッセージの一部を、
私のつたないエス和(エスペラント→日本語)訳で
ご紹介することにしましょう。

(後半につづく)

   
   
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Maki Sano プロフィール:
自然と平和を愛するコピーライター。エスペランティスト。ニューヨーク在住。
「メッセージ from NY」のコーナーでは、Makiさんが配信しているメールニュース『NY Estuary』を転載しています。メールニュースを直接受信したい方は、こちら↓まで。
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