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ごぶさたしておりますが、お元気でしたか?
Maki from New Yorkです。
気が付くと、最後にお便りしてからはや数カ月が過ぎていました。
それというのも、2〜3ヵ月でカタが付くと思っていた
ユニセフ本部への欠員穴埋め出向が、3ヵ月延長、さらに半年延長
と長引いて、ほぼ丸1年になってしまったためですが、
(その間、アメリカの国防長官はイラク政策失敗の責任を問われて解任、
一方日本では何だかずいぶんきな臭い政権が誕生したようですねー)
先日、ようやっと新しいオフィサーの採用が決まり、
欠員が埋まることになったので、私は年明けから徐々に
ユニセフでの勤務日数を減らしていくことになります。
そこで今日は、あわただしくも楽しかったこの1年を振り返りつつ、
出向中に感じたことを少し書いてみようと思います。
ユニセフ勤務といっても、もちろん私が開発途上国に出かけて行って
井戸を掘ったり予防注射を打ったりしているわけではありません。
(そんな能力や体力があればどんなにか素晴らしいですけどねー)
主な仕事は、ファンドレイジング(寄付金集め)の
ツールとして使われるさまざまな印刷物や広告を、
ユニセフの国内事務所や外部のスタジオといっしょに制作し、
ひと癖もふた癖もあるアメリカの印刷所をなだめたりすかしたり
脅したり(?)しながら、品質を落とすことなく納期までに完成させる
というプロジェクトマネージャーのような仕事です。
私をよくご存知の方は「え、あんたがマネジメント?大丈夫なの?」
と思われるでしょう。
はい、私はこれまでずっと制作畑で来た人間ですから、
お察しの通り、最初は慣れない仕事にかなーり戸惑いました。
出向して間もない頃は、がらにもなく肩が凝ったり、
鏡を見ると毎日どこかに白髪が見つかったりしました。
でもまあ、もともとユニセフという組織自体に興味があったし、
通常ならたとえ働きたくてもまず手の届かないポジションであることも
知っていたし、なにより欠員が埋まるまでの「期間限定」の仕事だと
分かっていたので、しばらく修行させてもらうような気持ちで飛び込み、
日々奮闘しているうち、いつの間にか肩凝りも白髪もなくなっていました〜 ^^;)
慣れ親しんだ制作と慣れないマネジメント、両方の仕事に携われたおかげで、
ひとつの印刷物が、企画、制作、印刷、校正を経て、最終的に束になって
発送されていくまでを見届けるという、これまでにない経験もできました。
専門外の仕事ですから、さすがにこれをずっと続けていきたいとは
思いませんが、期間限定でやらせていただく分にはたいへん面白い仕事でした。
出向の機会を与えてくださった方々、
共に働き、いろいろ教えてくださった方々、
出向中の不義理を快く理解してくださった方々に、感謝しています。
さて、出向中の仕事で何に一番ワクワクしたかといえば、
間違いなく「現地で働く職員の話を聞くこと」でしょう。
ファンドレイジング用の印刷物に談話を載せるため、
開発途上国で実際に現地の子どもたちを支援している日本人職員
(お目当ての国に日本人職員がいない場合は英語を話す職員)
に電話をかけて、話を聞く機会が何度かありました。
何にワクワクするって、何ひとつ分からない、
知らないことばかりだからワクワクなんです(疲れますけどねー ^^;)
たとえば、今季のファンドレイジングのキャンペーンテーマが
「予防接種」に決まったとしますよね。
だったらいま予防接種が一番必要とされている国はどこだろう?
あるいは、ユニセフの予防接種プロジェクトがうまく行って
成果をあげている国はどこだろう?
…分からないので調べます。
いくつか候補があがったら、その国に事務所があるかどうか?
事務所の休日や営業時間は?(金曜休みのところとか、
朝早―くオープンして午後さっさと閉めるところとか、世界はいろいろ)
どの職員に話を聞くのが良さそうか?
…また調べます。
次に、電話をかける時間帯を絞り込むため、時差を調べます。
最近は地名を入力するだけで現在時間を表示してくれる
「世界時計」サイト(例↓)がたくさんあって便利だけど、
http://www.timeanddate.com/worldclock/
相手の都市名が世界時計の一覧にないこともよくあります。
「トゥリンコマリー? それってどこよぉー?」
と該当国の地図をひっくり返し、その都市が見つかったら
今度は世界地図と照らし合わせて、同じ経線上にある大きな都市を探します。
「えーと、経度はだいたいカトマンズと同じだからー、
げげ、むこうの営業時間ってこっちの夜11時から朝6時じゃん。
寝るなってかー (T_T)」
などとおおよその時差を割り出すわけです。
やっと電話をかけたのに、相手と話せないこともしばしばです。
エクアドルにかけた時は、電話受付の人がまったく英語を解さず、
こちらはこちらでスペイン語を解さず、話がちっとも進まないので
トリニダードトバゴ出身の同僚を呼んで電話を代わってもらい
スペイン語で事情を聞いてもらったところ、
お目当ての職員はすでに他国に転勤してたり。
スリランカの地方事務所にかけた時は、電話がなかなか通じず、
後で聞いたら「事務所には電話回線が一本しかないんです。
他の職員が使っている間は使えないので、
できれば始業前にかけていただけますか?」
「この辺りは紛争が激化してから停電が多く、
1日に1時間しか電気がつかない日もあるんです。」
がーん。
そういえばセネガルの事務所はeメールがモデム回線でした。
何も考えずいつものように添付ファイル付きのメールを送りつけて
たいへん迷惑をかけてしまったことがあります。
職員がいつも事務所にいるとも限りません。
紛争や災害などで避難民キャンプに詰めている場合もあります。
「日中はずっとフィールドに出ています。
携帯も持っていますが、ゆっくりお話しできないと思いますよ。
仕事を終えて、夜宿舎に戻ってからお話ししましょうか?」
と言ってくれる優しい職員の方もいます。
そうなんです。
電気やガソリンがなかったり、物資がなかなか届かなかったり、
ゲリラに襲われたり、蚊に刺されてマラリアにかかったり、
職員の人達もみんな大変なんですよねー。
わざわざ大変な地域に行ってそこに身を置いているわけだから、
国連機関といえど彼らだけが大変でないなんてことはないわけで
考えてみれば当たり前のことなんだけど、
地球の裏側のニューヨークで、近所の日本食料品店で買ってきた
幕の内弁当などつまみ食いしながら残業している時に
突然そういう現実に触れて、うわー何か申し訳ないなー
という思いにかられることもあります(でも食べますけどね)。
電話の向こう、メールの向こうは、
戦場だったり、食糧難だったり、洪水だったりします。
さて、めでたく電話がつながり、相手がつかまれば、
彼らが取り組んでいる支援活動の話を聞くことができます。
でもその前に、相手国の基本情報を仕入れておく必要があります。
これは、相手への礼儀でもありますが、自分のためでもあります。
その国の主要な産業、国民一人当たりの平均年収、使用言語、
政治、宗教、気候、地形、平均寿命、人口に占める子どもの割合、
U5MR(5歳未満児死亡率)、子どもの主な死因、就学率、識字率など、
最低限のことを一通り調べておかないと、質問さえできないからです。
セルビア・モンテネグロ(ちょっと前に分裂しましたが、
私が電話した時はまだ1つの共和国でした)のように
ちょっとややこしい歴史を持つ国に電話をかける時は、
ドロナワでも何でもいいから、多少なりとも歴史的背景を
おさらいしておかないと話についていけません。
学生時代に世界史をさぼり、大人になってからもテレビのニュース程度の
世界情勢しか追えていない私の場合、恥ずかしながら
「『コソボ難民』って何だっけー」から始めないといけないのです。
「はあ〜、私って何にも知らないんだなあ。」
いろいろなことを知れば知るほど、何も知らない自分を思い知らされます。
ちゃんと正規のルートをたどって国連機関に採用されてくるような人達なら
たぶん常識として知っているようなことでも、「なんちゃって職員」の私は
いちいち調べて、そのつど「え、うそ、そうだったの、知らなかった、
つーか大・勘違いしてた、うひゃー」といちいちショックを受けるのです。
それってなかなか骨の折れることだけど、ある意味幸せなことかもしれません。
開けてビックリの驚きや発見が、無知な私にはまだまだたくさん
用意されているってことだから。
現地職員が「産業も何もなく、とても貧しい」と語るインドのへき地。
でもその地に立つ菩提樹の木の下で釈迦が悟りをひらいたと聞いた時には、
「へえ、すごい所じゃない!」
私たちがまぶしい時によくやる「手を額にかざす」ポーズ。
でもガーナ北東部では死者に対してしかとってはいけないポーズだと
知った時には、「そ、そうなんだ…」*〜*;)
印刷物に使用してはいけない言葉もあります。
たとえば「反政府勢力」。
政情の不安定な国では、「反政府勢力」と書いた数週間後に、
その勢力が正式な政府になっていることもあるんですよね。
そういう幸せな(?)カルチャーショックをたくさん味わって、
「自分の常識は誰かの非常識かもしれない」という意識を
常に持ち続けていたい。
もっともっと、知らない国に、知ってる人を作りたい。
これは私が国際共通語エスペラントを使う理由のひとつでもありますが、
一度でも言葉や気持ちを交わした人が住んでいる国は、
もう「他人事」の国ではなくなります。
その国がテロや地震に襲われたりすれば、
「あの人は大丈夫かなあ」と心配になるし、
政権が変わったと聞けば、
「テレビでは万歳万歳って喜ぶ人々が映ってるけど、
これってあの人にとっておめでたいことなのかなあ、
それともがっかりなことなのかなあ」
とあれこれ思いを巡らせたりします。
もしかして平和の種って、そういうところから生まれるのかもしれません。
私は IMAGINE(=想像すること、思いをはせること、
自分がその人だったらと考えること)こそ
ラブ&ピースの第一歩だと信じているけど、
実際のところ、思いをはせる相手が誰もいない国や世界に思いをはせるって、
相当ハードル高い作業なんですよねー。
反対に、1人でも2人でも、自分とはまったく違う世界に生きる人を
知っていれば、彼らの背後にはもっともっとたくさんの
「自分の知らない世界」があるってことに、容易に気が付くでしょう。
日本人も、アメリカ人も、そしてもちろん私も、
もっともっと「自分の知らない世界」に住む人たちと知り合うべきです。
もし家族のような存在の人が、世界中に点々といれば、誰だって、
「あなた、私の大事な○○ちゃんが住んでる町に、
爆弾なんか落とそうっての?!」
と、いてもたってもいられなくなって立ち上がるでしょう。
話が脱線したかもしれませんが、
1年間の「なんちゃってユニセフ職員」体験を振り返って、私に言えることは、
世界は広い! 知らないことも多い、
いや、どちらかというと知らないことだらけだ。
だから知ろう。カルチャーショックを受けよう。思いをはせる誰かを作ろう。
国連職員みたいに立派でなくてもいいから、自分なりのやり方で、
世界をちょっとだけいい方向へと引っ張ってみよう。
何ができるか考えよう。
…こんな感じでしょうか。ちょっと大風呂敷過ぎましたか?
ま、クリスマスだからいいですよね、ウィッシュリストってことで。
この冬、貴方のウィッシュリストには何を書きますか?
Peace.
Always,
Maki
ユニセフ本部サイト www.unicef.org
日本ユニセフ協会サイト www.unicef.or.jp
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PS
最後に、我が家の電気エネルギーグリーン化の経過報告と訂正を。
まずはお詫びしなければなりません。前回のメールで、
「グリーンエネルギーに変えたら月々3ドルくらい値上がりするだろう」
と書きましたが、8月にグリーン化してから今月までの5ヵ月間の
コン・エディソン社からの請求額を、去年の同時期の請求額と比べてみた
ところ、どういうわけかすべての月で去年より安くなっているのです〜!
しかも11月、12月なんて、ご覧のように尋常じゃない価格差!
2005年 2006年
8月 $93.41 → $89.47
9月 $89.82 → $78.69
10月 $97.05 → $78.15
11月 $110.25 → $76.37
12月 $118.33 → $73.41
どういうことでしょう。確かに今年は晩夏が涼しかったし、
この冬も今のところそれほど寒くありません。
だからさほどエアコンは使っていません。
でも、そうは言ってもこの価格差はいったい…???
前回書いたように、グリーン100%認定のエネルギーでは
税金(デリバリータックス)が免除されますが、
それだけでこんなに安くなるとも思えないし…。
この謎は追々解明していきたいと思います。
この価格を見て、よし私もグリーン化に踏み切ろう!と思われた
ニューヨーク在住の方は、こちらのサイトへどうぞ〜 ^^)Y
ニューヨーク州公益事業委員会サイト:
http://www.energyguide.com/finder/NYFinder.asp?referrerid=209&sid=481
それから、訂正です。
前回のメールで私はこう書きましたが、
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ざっと見たところ、「いろんな再生可能エネルギーに投資したい」という
私の希望に一番近いのは、「スターリング・プラネット」という会社の
「NYクリーンチョイス」というプランのようです:
水力(大型水力発電) 30%
バイオマス/ゴミ 30%
風力 40%
合計 100%
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「大型水力発電」はもちろん「小型水力発電」の誤りでした。
ここに訂正させていただきます。
(以上) |