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こんにちは!Maki from New Yorkです。
私が国際共通語エスペラントのユーザーであることは以前お話しましたが、実は、この秋から地元NYのエスペラント会でプログラムディレクターも務めております。プログラムディレクターとは、毎月の集まりで行う催し物の企画や手配をする人で、まあ、忘年会の幹事さんのようなものです。NYエスペラント会には現在約60人の会員がいて(NYに60人しかエスペラントユーザーがいないということではありません。会に所属しないエスペラントユーザーもたくさんいます、念のため
^^;)、毎月、会員の誰かが自分の専門分野についてレクチャーを開いたり、ジャズや民族音楽の演奏会を開いたり、海外からのお客さんを囲んだり、また夏の間には近郊の公園へピクニックに行ったりして親交を深めています。最近では、イランからのお客さんが「イスラム教の歴史」についてレクチャーを開いてくれたのが印象的でした。NYエスペラント会にはイスラム圏の人材が不足していることもあり(最近になって熱心なトルコ人女性が加わりましたが)、大統領選前に行われたこの貴重なレクチャーに、みな興味津々で聞き入っていました。正直なところ、世界史もエスペラント語もあんまり真面目に勉強してこなかった私にとってはかなり難解なレクチャーでしたが、それでも、異文化に興味を持ち精一杯吸収しようとするエスペランティスト(=エスペラントユーザー)たちの姿勢に改めて感心させられたものです。
さて、本題です。催し物のネタが何も見つからない月はどうするか?そう、プログラムディレクター自らが催しを実施するのです。この11月がそうでした。私は、こんなこともあろうかと数ヶ月前から密かに暖めていたネタを取り出すことにしました。題して「南スウェーデン、エコの旅」。去年の夏にスウェーデンで撮ってきた写真をたくさん使い、その分できるだけしゃべりを少なくした、約40分間のフォトレクチャーです。
ご存知のように、私はエコの専門家ではありませんし、それ以前に、人前に出てしゃべったりするのが得意な人間でもありません。日本語や英語ではまずこんなことをしようとも考えなかったでしょう。もちろん、プログラムディレクターとしての責任感もありましたが、何というか、「まあ、エスペラント語で、エスペランティスト相手に、自分の好きな事について語るだけならやってみてもいいかな」という気になれたわけです。ネイティブスピーカーが存在しない「エブリバディーズ・セカンドランゲージ(みんなの第二言語)」エスペラントならではの、気楽さ、敷居の低さ、安心感がそう思わせてくれたのかもしれません。スウェーデンで撮った写真をマックのiPhotoに入れてスライドショーを組み、写真に合わせてしゃべる原稿を作って、前夜に一度黙読リハーサルをしただけでしたが、本番はまったく緊張することなく楽しくしゃべることができました。
前置きはこのくらいにして、せっかくですからここでそのレクチャーをご紹介いたしましょう。写真をお見せできないのが残念ですが、各段落の初めに写真の説明文を添えておきましたので、想像を膨らませながら読んでいただけると幸いです。なお、文中に出てくるデータの多くは、飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長、環境ジャーナリスト)の好著「北欧のエネルギーデモクラシー」(新評論社)からの受け売りです。
^^;)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794804776/249-4285241-6993130
ーーーー以下、フォトレクチャー「南スウェーデン、エコの旅」の和訳ですーーーー
■ 写真:世界エスペラント大会の会場風景
去年の夏、私はスウェーデンのイェーテボリを訪れました。第88回世界エスペラント大会に参加するためです。世界62カ国から1,800人が集まりました(Maki注:世界中にエスペランティストが1,800人しかいないということではありません、念のため。たとえば、NYエスペラント会からは3人しか出席していません)。北欧の短い夏はたいへん美しく、人々の心根もよく、とても楽しい大会でした。けれど、今日私がお話しするのは大会についてではなく、スウェーデンの環境努力についてです。
■ 写真:スウェーデン地図
世界大会開催地であるイェーテボリに着く前に、私はスウェーデンの南半分にある都市をいくつか回ってきました。まずストックホルム、それからゴットランド島、カルマル、エーランド島、ベクショー、マルメ、デンマークに入ってコペンハーゲンも訪れました。これからみなさんを、南スウェーデンのエコツアーへとお連れしたいと思いますが、その前に、イェーテボリで撮った面白い写真をお見せしましょう。
■写真:トイレ
はい、トイレです。大会会場となったコンベンションセンターのすぐそばにある自然科学博物館の中で見つけました。見えるでしょうか?トイレットボウルの中が、2槽に分かれていますね?そうなんです、1つは液体を投入する槽、もう1つはトイレットペーパーその他の個体を投入する槽ですね。こうして分けておくことで、排出物の浄化がより効果的、より低コストにできるというわけです。
(オーディエンスから質問:「スウェーデンのトイレってみんなこうなってるの?」
私:「いえ、これは実験的なもののようです」
オ:「そうか、自然科学博物館だからだね」)
では、もうちょっと美しい写真を見ましょうか。
■ 写真:ストックホルム中心部を走る路面電車
スウェーデンの美しい首都、人口約70万人のストックホルム市です。路面電車、バス、地下鉄などの公共交通機関が発達しているので、人々はマイカーを持つ必要がありません。ニューヨーカーと同じですね(最近読んだ記事によると、市バスはイタリアの余剰ワインで走っているのだとか)。この街は1997年、欧州29カ国の中から欧州持続可能性都市大賞にも選ばれたそうです。
■ 写真:ストックホルム中心部の自転車専用路
トム(NYエスペラント会会長)や私のような自転車乗りにとっては、これは羨ましい絵ですね。自転車専用路が、1方向に1レーンずつ用意されています。もちろん、彼(写真中、自転車専用路の真ん中でぼーっと立っている人物)は自転車が来たらすぐ道を空けなきゃいけません。現在ストックホルムの自転車専用路は全長700キロにも達しているとのことです。
■ 写真:ストックホルムの大通り
これはストックホルムの中心街を走るバスの中から撮った写真です。この大通りには、NYのパークアベニューのように、車道と車道の間に緑地帯があります。でもストックホルムの緑地帯はパークアベニューよりずっと広くて、その上には歩行者と自転車専用の道があるんです。こんな道があれば、小さな子供もお年寄りも安心して歩けますね。
残念ながら私はストックホルムにあまり長居できなかったので見学できませんでしたが、ストックホルム市の中心部には、新しくエコビレッジも誕生したそうです。すべての住宅が省エネ設計になっていて、使用されるエネルギーも自然エネルギーだけ、というものらしいです。
(オーディエンス:「NYにも新しくエコビルができたらしいよ、ディズニーのビルだったかなあ。コミュニティ全体じゃなくて、ビル一軒、だけどね」)
■ 写真:アーランダ・エクスプレス(電車)
これはアーランダ・エクスプレスといって、ストックホルムの中心部とアーランダ空港を20分で結ぶSJ(旧国鉄)のハイテク・トレインです。この電車、そして実はSJが走らせているすべての電車は、水力、風力、ソーラー、バイオマスといった自然エネルギーのみで動いているのです。これほど大きな企業によるこうした意思決定は、国全体の二酸化炭素すなわち温室効果ガスの排出量にも大きな影響を与えます。
■ 写真:スウェーデン地図
ストックホルムを後にした私は、フェリーに乗ってゴットランド島へと向かいました。ゴットランド島は人口6万人、バルト海最大の島です。
■ 写真:半壊した中世の教会がそのまま残るビスビーの街
ゴットランド島は、ストックホルムっ子たちに非常に人気の高い夏のバケーションスポットです。人気の的となっているのは、13世紀のたたずまいを残すユネスコ世界遺産の街ビスビーですが、それ以外に、「100%エコ・エネルギーの島」を目標に掲げる島としても知られています。現在この島は「一世代以内に持続可能なコミュニティとなること」を目指しています。
■写真:ホテルのゴミ箱
私は、港近くのホテレットと呼ばれる小さなホテルに宿をとりました。そこの自分の部屋の中にあったのが、このゴミ箱です。箱自体はごくシンプルなプラスチック製の容器ですが、その中に仕切り板が差し込まれています。3枚の仕切りにはそれぞれ、「バナナの皮/リンゴの芯」「ガラス瓶/缶」「新聞/雑誌」の絵が描かれています。つまり、飛行機から持ってきてカチカチになってしまったパンはバナナのセクションに(笑)、飲み終わったコカコーラは瓶のセクションに、書き損じた絵葉書は雑誌のセクションに捨てなさい、ということです。私は部屋の中で、持ってきた和菓子を食べたあと、残ったビニールのパッケージをどこへ捨ててよいものやら途方にくれてしまいました。で、結局自分のスーツケースの中に押し戻しました。ゴットランド島の人がこのゴミ箱で言いたかったのは、こういうことだったのかもしれません。つまり、リサイクルできないもの=捨ててはいけないもの、ということ。
■写真:ハイテク風車が立ち並ぶ草原
翌朝、私は島の南端近く、ネスーデンという所まで足を伸ばしました。ここには、90基の風車が並ぶスウェーデン最大のウィンドファーム(風車群)があります。ゴットランド島は、島内電力需要の約20%を風力でまかなっており、風の強い日には100%カバーすることも可能となっています。
■写真:国内の風車分布地図
これはスウェーデン国内の風車の分布を示した地図です。青い点は風車一基を表しています。黄色い点はウィンドファーム、すなわち風車群を表しています。1989年、協同組合による国内初の風車がこの島に建てられて以来、ゴットランド島はスウェーデンの風力エネルギーのメッカとされてきました。現在国内にある約500基の風車のうち、約150基がゴットランド島に集中しています。そしてその多くが普通の市民によって所有されています。実際、ゴットランド島の島民の10人に1人が、こうした風車の株主となっているのです。
■ 写真:巨大風車の足下に建つミニ博物館
ウィンドファームの片隅に、風力エネルギーをテーマとした小さな博物館を見つけました。国内最大のエネルギー会社、バッテンフォール社が運営しています。
■ 写真:風車を描いたたくさんのクレヨン画
ミニ博物館の中に入ると、風車タービンの模型などともに、風車の絵がたくさん展示されていました。以前ここに見学に来た子供たちが描いたもののようです。
■ 写真:長髪にヘアバンドをした笑顔の青年
彼は、ミニ博物館で働く青年です。私の質問にとても丁寧に答えてくれました。こんな意外なことも教えてくれました。ここにある風車の多くは、スウェーデンではなく隣国デンマークの資本で建てられたものなんだそうです。彼が笑いながら言うには、今やデンマークは風力エネルギーでスウェーデンを侵略しようとしているのだとか。後ほどまた触れますが、今はこれだけ覚えていてください。デンマーク国は原子力エネルギーを拒否しており、実際まったく使用していません。その代わりに、2020年までに国のエネルギー需要の50%を風力エネルギーでまかなうという目標を掲げているのです。
■ 写真:自転車ラックが付いたバスの背面と、運転手さん
オーケー、数字はこのへんにしておいて、バスでも見ましょうか。これは、自転車用のラックが付いたゴットランド島のバスです。私が訪れたウィンドファームは公共交通機関の行き交わない辺鄙な場所にあったのですが、このバスとレンタル自転車のおかげで私はどこにでも行くことができました。この親切な運転手さんのおかででもあります。彼はいつでもバスから降りてきてラックに自転車を架けるのを手伝ってくれました。
■ 写真:海辺にひっそりと建つ夕暮れのカルマル城
ゴットランドを後にした後、私は日本からやってきた両親と合流しました。これは、中世の美しい城が建つ港町カルマル。この町もまた、エコ・コミュニティとして知られています。
■ 写真:縦3段×横2段のリサイクルボックス
カルマルはとても優れたリサイクルシステムを持っています。これは、ユースホステルのキッチンで見つけたリサイクルセンターです。ここでは、資源ゴミを細かく分別しなければなりません。メタル類、プラスチック、白紙および新聞紙、色付紙、透明ガラス、色付ガラスの6カテゴリーです。
(オーディエンス:「食べ残しはどうするの?」
「これとは別に、流しの方にコンポスト用の容器があったと思うけど」
「じゃあ、全部で7カテゴリーをリサイクルしているわけね」
「あ、確かにそうですね」)
――――――――今回はここまで―――――――――
ちょっと長くなるので、2回に分けますね。
後半は、森林資源で地域暖房と発電を行うバイオマスプラントと、
世界最大の洋上ウィンドファームへご案内します。お楽しみに!
Peace.
Always,
Maki |