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2003/11/01 [ワシントンDC平和集会:所感] from Maki Sano
(毎度BCCで失礼いたします)

こんにちは!太陽黒点の動きが活発ですね。昨夜はニューヨーク州北部でも
オーロラが見えたそうですが、皆さんの地域ではどうですか?

さて、先週土曜日の10/25、ニューヨークから往復10時間バスに揺られて、
ワシントンDCで開かれた大規模平和集会に参加してきました。

先日ご紹介した「TUP速報」が、キャナディアン・プレス紙に掲載された
関連記事をさっそく翻訳してくれていますので、まずはそちらをどうぞ。

【以下転載】

 ワシントンで10月25日に行われたイラク占領停止と米兵の即時帰国を要求
する集会とデモについては、TUP速報200号で紹介しましたが、当日の様子
がいろいろなメディアで報道されています。ここではキャナディアン・プレス紙
に掲載された記事を紹介します。

 警察推定の参加者数は公式発表はしませんでしたが1〜2万人、主催者発表で
10万人、久し振りの大きなデモでした。退役軍人や、イラクに派遣されている米
兵の家族も参加していたことがわかり、ブッシュ大統領への批判の広がりが伺え
ます。

 以下、同記事の抄訳です。
               寺尾光身(TUPメンバー)

===================================================

ワシントンで、ブッシュのイラク政策に数万人が抗議

キャナディアン・プレス
2003年10月25日、土曜日

ワシントン(キャナディアン・プレス)−アメリカの首都ワシントンで10月
25日土曜日、イラク占領の停止と米兵の即時帰国を要求して数万人が集会とデ
モを行い、ブッシュ大統領とそのイラク政策に抗議して、「ブッシュ弾劾」の声
をあげた。

民主党大統領立候補者アル・シャープトンは、「米軍のイラクからの段階的撤退
で満足するな。ブッシュに870億ドルはおろか、87セントも与えるな。」と
語り、群衆の大喚声を受けた。

サンフランシスコでも数百人が反戦行動に参加したが、書店を営むビル・ネルソ
ンは「私たちは米軍兵士を連れ戻したいから声をあげ続けることがとても大切だ
と思うし、お金をアメリカで保健医療や雇用対策に使って欲しいので、軍産複合
体には使って欲しくないんです。」と言った。

東西両洋の沿岸で行われた反戦行動は国際ANSWER(Act Now to Stop War
and End Racism、戦争をとめ人種差別をやめるために今行動を)と平和と正義の
ための連合(United for Peace and Justice)が主催したものだ。

カナダに移住して10年になるトロントの17才の高校生ミゲル・ナルバエズ
は、活動家仲間で仕立てたワシントン行きのバスに同乗したが、国境でアメリカ
のビザとカナダの永住許可移民の証明書を提示したにも拘わらず、アメリカの入
国管理官からひどい扱いを受け追い返されてしまい、仕方なくトロントで、アメ
リカ領事館までの200人の反戦デモに加わった。

抗議行動は土曜日にモントリオールとオタワでも行なわれた。

ワシントンに集まった参加者は、青年、老年、退役軍人、米軍兵士家族、イスラ
ム教徒、と、とても多様だった。怒れるおばあちゃんたち、という老婦人の活動
家グループは、ブッシュに反対する歌を幾つも歌い、まわりから喝采を浴びていた。

主催者による推定デモ参加者数は十万だが、出動していた警察は1万から2万と
していた。

デモ隊はホワイトハウスを周回して司法省に向かい、ワシントン・モニュメント
に戻って来た。しかし、障害物が設けられてホワイトハウス前に近づけず、ホワ
イトハウスのゲートに向かって抗議の声をぶつけることはできなかった。

1991年のペルシャ湾岸戦争に参加した退役軍人であるマイケル・マクファー
ソンさんは、「大統領はこの国を誤った方向に導いた。ジョージ・ブッシュよ、
あんたは真実を押し殺してしまったんだよ。」と大統領を非難した。

保守グループの自由共和国(Free Republic)ワシントン支部は国会議事堂前に
数十人を集めてブッシュとイラク駐留軍への支持を表明していた。

==========================

記事掲載サイトのURL:
http://www.canada.com/news/world/story.asp?id=2E3A9A36-D37B-4587-B261-0A8DD457287C

抄訳:寺尾光身(TUPメンバー)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
TUP速報
菅原 秀 Schu Sugawara
電子メール: TUP-Bulletin-owner@egroups.co.jp
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*問い合わせが膨大な数になっています。ご返事が書けない場合がありますので、
 ご容赦ください。

【以上転載】

……ということで、当日のだいたいの様子は把握していただけたと思います。

毎度バナー(横断幕)持ち担当の私は、ミネアポリスから飛行機で来たという
大学生や、弟がイラクに駐留中だという女性とともに「NEW YORK SAYS NO TO WAR
(NYは戦争に反対)」のバナーを掲げて、先頭集団の少し後ろを歩きました。
トーキングドラムやバケツを叩いて踊る賑やかな一団がずっと横にいてくれた
おかげで、ワシントンモニュメント→ホワイトハウス前→司法省→そして再び
ワシントンモニュメントという1時間半ほどの行程を、「ブッシュもチェイニーも
もうたくさん!ヘイヘイ!ヘイホー!」などという小気味よいシュプレヒコール
を口ずさみながら、飽きることなくパレードすることができました。

秋晴れの下、(珍しく)逮捕者も出ず、極めて和やかな集会&パレードでした。
主催者は「大成功だった」と語り、参加者もおおむね満足そうにしていました。
でも私にとっては、何か今ひとつしっくりこない一日だったのです。

その要因はいくつかあるのですが、まずは何と言っても動員数の少なさです。
当日の動員数に関する報道は、メディアによりあきれるほどバラバラで、
正確なところを知るのは困難です。主催者(ANSWER)いわく10万人、警察は
あるメディアには1万〜2万人、別のメディアには4万〜5万人と語っています。
NYニュースデーは3万人、この手のイベントの動員数をいつも少なく見積もる
ニューヨークタイムズは1万人超。過去にいくつものイベントを見てきたという
同行の写真家Oさんは、パレードに先立って開かれた集会の際、ステージ上の
プレス席から聴衆を見渡してざっと3万人と推測。その後も大小の団体が次々に
到着していたので、まあ、3万〜4万人というのが妥当なところでしょうか。

この日はワシントンDC以外でも、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、
アテネ、ベルリン、ソウル、バルセロナ、ストックホルム、ワルシャワ、
カイロ、アンカラなど、世界各地で同様の集会が開かれたそうですが、
動員数は数十人・数百人から最高でも2万人ほどで、世界的にみても
我々の集会がもっとも大規模だったようです。

国内メディアの反応はどうかというと(NYに戻ってから爆睡し続けていたので
私はちゃんと見ていないのですが _ _;)事後のネット検索によれば、
テレビではCNNやC-SPAN、CBSが何度かニュースに取り上げ、新聞も
ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、シカゴトリビューン、
ロサンゼルスタイムズ、NYニュースデー、NYデイリーニュースなど
各紙が報じたというのですが、取り上げ方が小さかったのか、
その後の人々の反応はいまひとつ鈍いようです。会話に上らない、というよりも、
このイベントがあったこと自体知らない人が多い、という印象です。

いつもプラカード作りなどお気楽かつ個人的な反戦活動について書いている私が、
今回に限って動員数やメディアの反応をこれほど気にするのは妙でしょうか?
妙でしょうね。でも、今回は本当に大規模なイベントになって、
メディアにも大々的に報道してもらい、世界中の人々に見てもらいたかったのです。
「おめでたい奴」と言われるのを承知で白状すれば、私はこの日、
50万人に来て欲しかった。そのくらい集まらないと、今のアメリカでは
目覚まし効果を発揮しないと感じるからです。無論、「3万人では無意味」
などと言うつもりはありません。3万人の集会も、回を重ねればやがて大きな
うねりとなるでしょう。ただ私は、今回の集会が「変化へのトリガー(引き金)」
になる、つまり、この国の方向性を大きく変えるきっかけを作ることになるのでは
と、心の中で密かに期待していたのでした。(はかない期待でしたが T_T)

その一方で、50万人なんて到底無理だという感触も、実は数週間前からありました。
今回のイベントのビラを近所の地下鉄駅前で配りながら、行き交う人々の反応が
開戦前のそれとは比べ物にならないほど鈍くなっているのを感じていたからです。
以前のように、「お前はビン・ラディンの回し者か」などとからんでくる人も
いないかわりに、積極的にビラを受け取ってくれる人もあまりいない。全体的に、
鈍く、重く、けだるいリアクション。まあ、無理もないですよね。反戦派の人達は、
結局戦争を止められなかったという、敗北感にも似た思いに苛まれており、かたや
好戦派だった人達は、信じていたブッシュ政権の嘘がぼろぼろと明るみに出て、
こちらも裏切られたというショックや不信感に苛まれている。でも、だからこそ
50万人規模の目の覚めるような大型ニュースで、彼らに活を入れてあげられれば、
と思ったんですけどね。余計なお世話ですかね。そうはうまくいかないようです。

もう一つ、今回の集会でしっくりこなかった点は、「国連」というキーワードを
ほとんど耳にしなかったことです。壇上で拍手喝采を浴びているさまざまな団体の
代表さん達からも、色とりどりのプラカードからも、伝わってくるメッセージは
「ブッシュを弾劾せよ」「米軍はイラクから撤退しろ」「帝国主義を止めろ」
「パレスチナを解放しろ」「イスラムの仲間を守れ」といった毛色のものが
ほとんどで、国連や国際社会との協調に言及したものはごくわずかでした。

実は、2〜3週間前、私がこの集会のお知らせを友人知人にメールしたとき、
それを読んだ日本の方から「米軍を撤退させてイラク復興支援はしないのか」
というような内容の質問をいただきました。この集会のスローガンとなっている
「イラク占領をやめ米軍を即時撤退しろ!軍事予算を教育・医療・雇用に回せ!」
というコピー(私が書いたんじゃないですよ〜、念のため ^^;)が誤解を招いて
しまったかな、と私は思いました。で、UFPJ(今回の共同主催者)のオフィスで
元米軍兵士が次のように語っていたことを思い出し、彼の言葉を借りて
釈明させていただきました。
「泥沼化したイラクをお前ならどうすると聞かれたら、私ならこう答える。
まずは過ちを認めて謝罪する。イラクに大量破壊兵器があると思ったが
間違っていた。イラクと911が関係していると思ったが、それも間違いだった。
誤った分析に基づく誤った戦争で、イラクの国土をめちゃくちゃにしてしまった。
もう元通りには戻せない。申し訳ないが、我々にはどうしていいか分からない。
だからどうしたいかをイラク人に尋ねて、その実現を国連に求める。その間
軍を一旦引き揚げて国連仕様に組織し直し、その後は国連のプラン遂行のために
身を粉にして働く。笑われるかもしれないが、アメリカがやってきたことを
知っている自分には、こうとしか答えようがない。」

集会に来る人全員が彼と同じ意見であると考えるのは無理がありますが、
(ブッシュが勝手に始めた戦争のツケを、戦争に反対していた自分が
なんで払う必要があろうか、という意見があっても、まあ当然でしょうし)
少なくとも私は彼に深い共感を覚えましたし、集会参加者の多くも
私と似たような考えを持っているはずだと信じていました。
が、実際のところ、「戦争でなく雇用創出のために予算を!」とか
「俺の税金はブッシュのベンチャーキャピタルじゃない!」という声はあっても、
「国連主導のイラク復興を!」という声はほとんど聞こえてきませんでした。
そんななか、「UN IN. US OUT.」というプラカードを持った小さなグループ
(定かではありませんが、「平和省」創設を訴えて大統領選出馬を目指している
クシニッチ下院議員の支持者グループだったと思います)を見つけたときには、
なんだか無性に嬉しくて、思わず両親指を宙に突き立ててしまいました。
「UN IN. US OUT.」……なんとなく節分の豆撒きを彷彿とさせるコピーですが、
要するに、アメリカ引っ込め、国連の出番だ、ということですね。

同様の懸念を投げかけているニュース記事も、少数ながらありました。
なかでも、アルターネットというインディーズ系ネットメディアの記事は
かなり私のツボ(痛点ですが ^^;)を刺激してくれました。
ごくごくおおざっぱに内容を紹介しますと:

「遅すぎた開催日。焦点を欠いたメッセージ。この2点により反戦派は、
変革に火をつけるまたとない黄金のチャンスを逃してしまった。
集会を開くなら、イラク復興がまだ国連でテーブルにのせられていた
3週間前にするべきだった。メッセージは雑多な意見の寄せ集めに過ぎず、
まったく焦点を欠いていた。メインテーマらしき『占領停止、即時撤兵』も
イラクを破壊した張本人の言葉として無責任極まる。もしもあの日、
雑多なプラカードの代わりに、2万人全員が「UN IN. US OUT.」の
プラカードを手に行進していたら、少なくとも1つの明確なメッセージを
送ることには成功していたはずだ……」

マーケティング畑の人間として、「イベントをやるからには効果を上げたい。
明確なメッセージを送りたい」という気持ちは私も強く持っていて、
だからこそ起爆効果を期待して50万人規模にこだわったりしていたのですが、
このアルターネットのニュースを読んで、なるほど、動員数が少なくても
メッセージを絞り込めば訴求効果は出るなあ、と感心させられました。
で、UFPJで数々のバナーを企画制作しているアメリカ人デザイナーのT君に
「この記事、すごく痛いけど、今後に役立ちそうなことが書いてあるよ」
と転送したら、すぐに次のような返事が返ってきました。
「これを書いた奴はクソだ。俺達のメッセージはバラバラで多様だからこそ
自由で美しいんだ。リベラル偏見野郎の政策材料なんかに利用されてたまるか!」
(^^;)(^^;)(^^;)な、なるほど……。彼は彼で立派に正しい。

T君は、「俺達が消化不良のまま、やつら(政治家)の思惑で勝手に事を
進められてたまるか」とも書いていました。それを読んで、ああ、そうだった、
アメリカ人の多くはまだ、イラク問題をはじめ911以降の一連の出来事を
消化しきれずにもがいているんだ(もちろん私だって消化できてないけど)、
と、改めて知らされました。運動の渦中にいるとつい見過ごしがちですが、
彼らはまだまだ不安定で、コンセンサスなど持つに至っていないというのが
現状だったのです。

たぶん私は、一刻も早くもう人が死なないですむ状態が欲しくて、
焦っていたのでしょう。そして10/25時点のアメリカ人はまだ、
大方向転換を受け入れる準備などできていなかったのでしょう。
撤退を求める人々も、自分さえ良ければいいと思っているわけじゃなく、
その先まで考える余裕がまだないだけなのでしょう。
今回の集会は、相当数のアメリカ人がブッシュ政権に不満を抱いていることや
アメリカの反戦運動が死に絶えていないことを証明しただけでも、
十分に収穫があったと評価されるべきなのかもしれません。
焦っても時代は前に進まないし、焦らなくても進むときは一気に進むのでしょう。

反戦運動は、イラク開戦を境にずいぶんと複雑なものになってしまいました。
馬鹿息子が包丁を手に「ぶっ殺してやる!」とか叫びながら家を飛び出すとき、
家族のすべきことは決まっていました。柱に縛りつけてでも止めれば良いのです。
でも結局、馬鹿息子は私達の制止を振り切って出ていき、何人もの人を殺して
しまいました。残された家族は、償っても償いきれない罪の重さに押しつぶされ
そうになりながら、いつか犠牲者の遺族に背後から刺されることを予感しつつ、
でもやっぱり自分もかわいくて、暗闇の中を手探りでさまよっています。

かくいう私も、今日のレポートでお分かりのように、人の意見を聞いたり、
記事を読んだりするたびに、微妙に揺れ動き続けています。が、それはそれで
いいのではないかと思っています。平和とはある一定の状態を指すのではなく、
それを目指して試行錯誤するプロセスのことを言うのだと、どこかで読んだ
記憶があります。それが本当なら、今私達がこうしてじたばたしていることも、
まんざら無意味ではないかもしれない。とりあえず今はそう思うことにします。

Peace,
Always.
Maki

ワシントンポスト記事(10/26)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A17636-2003Oct25.html
ニューヨークタイムズ記事(10/26)
http://www.nytimes.com/2003/10/26/national/26PROT.html
アルターネット記事(10/27)
http://www.alternet.org/story.html?StoryID=17043


PS
【お知らせ】
世界数十カ国で3千万人が反戦の声を上げたといわれる
今年2/15の超大型国際反戦行動の記録が、一冊の本になります。
題名:「2/15: the day the world said NO to war」
   (2/15:世界が戦争反対の声を上げた日)
発刊日:2003年11月
体裁:19cm×14.6cm、224頁(38カ国からのカラー写真131枚を含む)
企画・出版:Hello [NYC] / AK Press
ISBN:190259385-5

   
   

 

   
   
   
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Maki Sano プロフィール:
自然と平和を愛するコピーライター。エスペランティスト。ニューヨーク在住。
「メッセージ from NY」のコーナーでは、Makiさんが配信しているメールニュース『NY Estuary』を転載しています。メールニュースを直接受信したい方は、こちら↓まで。
http://www.emaga.com/info/
nyestuar.html
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