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2003/08/17 [Blackout 2003] from Maki Sano

こんにちは!

ご存じのように、NY時間木曜午後4時すぎ、
米国北東部とカナダで大規模な停電が起きました。
私の住んでいるマンハッタン南東部は復旧が最も遅れた地域のひとつで、
停電発生からちょうど29時間経った金曜夜9時すぎ、
「あーあ、今夜も暗くて暑い夜かあ」と覚悟し始めたときに
ストリートの街灯がパパパパ…と次々につき出しました。
停電以降することもなくずーっとビルの前でたむろしていた
隣の職業訓練校の生徒達から、大歓声があがりました。
私と家人も大音響でボブ・マーリーをかけて踊りました。
こうして、「ブラックアウト2003」と名付けられた大停電は
(未だ原因解明中であるものの)ひとまず幕を閉じました。

停電中に起こった色々なことは、
すでにテレビや新聞の報道でご存じかと思います。
地下鉄やエレベーター内に多くの人々が閉じ込められたこと。
携帯電話がほとんど役に立たなかったこと。
信号が止まって自動車交通がマヒしたこと
(警察より早く、市民が交差点に出て交通整理を始めました)。
タイムズスクエアやミッドタウンのターミナル周辺が
家に帰れず野宿する人々で埋め尽くされたこと。
夜10時になって多くのホテルが宿泊客を追い出したこと。
電気が止まると水道も止まること。当然トイレも流せないこと
(↑給水ポンプが電動の場合。我が家は古いビルなので大丈夫でした)。
ロウソクの火が原因で60件もの火事が起きたこと。
宝石店・スニーカー店・携帯電話屋などが襲われたこと。
(我が家の近所ではスタバとマックが標的に。反グローバリゼーションか?)

私はというと、停電時は東34丁目のクライアントのオフィスで仕事をしていました。
高層ビルの29階から、折り畳み自転車(いつも持ち歩いている)を担いで
暗く暑い非常階段を降りてくるのはたいへんでしたが、その後は
いつものように自転車をこいで6丁目の我が家に帰り着くことができたので、
ストリートで夜を明かした多くの人々のことを思えば、かなり幸運でした。
家人も、近所にある職場から無事家に戻っていました。

家に帰れさえすれば、我々はキャンパーですから、こういう事態には耐性があります。
買ってきた氷をキャンプ用のクーラーに入れ、断水に備えて風呂桶には水を溜めます。
ランタンオイルを詰め替え、キャンプ用コンロのガスカートリッジを用意
(アパートのコンロに電気が必要なのは点火時のみで、いったんマッチなどで点火
したら後はガスで燃え続けるため、結局キャンプ用コンロは出番なしでしたが)。
1977年に起きたNY大停電の際は3日間電気が戻らなかったと聞いていましたが、
3日間くらいなら、我が家にある食糧、水、キャンプグッズで何とかなりそうです。
でも、ポータブルラジオから流れるブルームバーグ市長の記者会見では
「日没までには復旧」とのことだから、それほど大袈裟に考える必要もなさそう…
…と思っていたら、とっぷり暮れても電気は戻らず。再度の会見で市長、今度は
「クイーンズ地区は1時間以内、その他の地区は3〜4時間以内に復旧」と。
でもやっぱり4時間経って日が変わっても電気は戻らず、結局翌日の夜9時すぎまで
全復旧しなかったのでした。なんで期待を持たせるようなことを言うかな〜。
ブッシュの会見も、「サダム許すまじ!」とか言う時の威勢はどこへやら、
なんともしどろもどろで内容も薄く、安心するどころか余計不安にさせられます。
とりあえずテロの可能性は極めて低いようで、知事によるとNY市のすぐ北にある
インディアンポイント原発も止まっているそうなので、停電対策だけ考えておけば
良いという点は助かります。

停電が長引いた時のことを考えて、近所のデリで予備の電池もゲットしました。
でも、それも尽きたらどうしよう?充電電池はたくさん持っているし、以前買った
ミニソーラー充電器で天気の良い日に充電しながら、ちびちびつないで行こうか?
ああ、前々から買おうか買うまいか迷っていた手回し式のジェネレーター、
買っておけば良かったなあ。そういえば、歩くだけで発電できる靴ってのも
あったなあ。うーん、停電が解消したら今度こそ真面目にリサーチしてみよう。
……なんてことを考えて過ごした29時間でしたが、不謹慎を承知で言えば、
本当はあと1〜2日停電が続いていた方が良かったかも?という気持ちもあります。
1日やそこらならお祭り気分で楽しむこともできますが、丸3日ともなれば
さすがのアメリカ人も「エネルギー」という問題を正視せざるを得なくなるでしょう。
湯水のように使っている電気や水には、実は限りがあり、
それらをあたかも無限であるかのように見せる現代の配電・配水システムに、
いかに自らが飼い慣らされてしまっているか。
そのシステムが破綻したとたん、自分がいかに非力になるか。
そのシステムのない生活を日常とする人々に対し、いかに自分が無関心であったか。
なぜシステムを持つ人と持たない人が存在するのか?
そも理想のシステムとは? etc...

幸か不幸か、停電は29時間で解消してしまいました。
この程度の不便では、上述のような想像を働かせるアメリカ人はごく僅かでしょう。
逆に、今回の停電を利用してまたブッシュが「だからアラスカの油田を掘るのだ〜!」
などとワケの分からないことを言い出さないことを、切に願っています。

最後になりましたが、お見舞いメールを下さった方、どうもありがとうございました。
停電中連絡ができずご迷惑をおかけした方、申し訳ございませんでした。
Maki

PS
そういえば、こちらが停電に見舞われているとき、日本は終戦記念日だったのですね。
深夜、真っ暗なストリートを眺めながら、「あ、今日って終戦記念日だね」
と家人に言うと、「そう、これはおしおきなんだ」という返事が返ってきました。
ha ha...(^^;)

   
   

管理人のHINAです。

終戦記念日といえば、停電2日目の金曜日にイーストビレッジからアップタウンへ向かうバスに乗っているときのこと。バスの窓から見上げると、ユニオンスクエア近くにあるCon Edisonのビルの時計がぴったり4時10分を指したまま止まってました。それを見てふと「広島に原爆が落とされたときの8時15分で止まった時計」のことが頭をよぎり、ぞぉ〜っとしてしまいました。

いろんな意味で考えさせられた2日間でした。

   
   
   
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Maki Sano プロフィール:
自然と平和を愛するコピーライター。エスペランティスト。ニューヨーク在住。
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