「パズルー!パズルー!」2歳5ヶ月になろうとしている娘が、行方不明のパズル一片を、大きな声で呼んでいた。呼べば出てくるのか、「赤のふたー!」今度は赤いマーカーのふたがない。「どこなのー!あーかーのーふーたー!」
ぼてっと、ねこのぬいぐるみがテーブルから床に落ち、娘が拾い上げた。「ねこ、痛いの!」「じゃあドクターにこに見せたほうがいいかな。」うんとうなづき、木製のおもちゃの大工道具を引っ張り出しきて、猫の肩をかなづちでガンガン叩いてからドライバーで脳天を突っついた。「治った、お母さん!」ごまアザラシのごまちゃんも、病気みたいなのでドクターにこに診てもらった。脇腹をのこぎりでざっくざっく。「治った!」フィラデルフィアから来ていたグランマが、たまたま見ていて「オーマイガー」だった。
お兄ちゃんは今日も悩んでいた。だいたいどんなおもちゃでも妹に使わせてあげているというのに、自分がそれに触ろうものなら、妹は「ヌオオオオオオオオオー!」と叫んで止まない。「にこのー!」と言う。もともとるいじのだから、にこのではない。それに一日中この調子なので、彼はこの止まらない理不尽な状況に、精神的ストレスを溜めているようで、時々荒れて、かわいそうになる。「これが2歳児なんだと思う。るいじはよくやってて偉いと思う。そのうちこんなことしなくなると思うから、いっしょにがんばろう。そのかわり、にこがいやだと言ったらしつこいことはやめなさい。」
奥歯が生えかけで、最近とくに妹は機嫌が悪い。多難の兄だが、たまたま風向きがいいと、登校前などに、にこからるいじにキスをしてくれる。すると兄は、とろとろに溶けた顔でにまーっと笑い、「天国だー、もう一回いひひひひ」「早く学校行きなさい!」「いひひひひひひ」
そしてにこが叫ぶ。「ドキンちゃーん、どこなのー!にこは、ここよー!」
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