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フカフカまんじゅうキック
『春のアラーム』
2008/04/20 UP

 彼らが寝付くと、おなかが空いてくる。起きているときは、ことに兄は、止め方のわからない目覚まし時計みたいにうるさい。だいたいが不平、「どうしてどうして」、「見て見て」、それからテレビアニメに感化されてる興奮状態の、雄叫びにドタドタ。口から出る言葉がそのまま空中に文字化してとどまり、それがこのただでさえ狭いアパートにどんどん充満していってるように感じられてくると、もう耐えられない。

 1週間の春休みが始まってしまい、1日目。お父さんはダブルシフトのため、朝から翌朝までお仕事。きょうの兄は、朝から文句ったれだった。どんな文句だったかほとんど覚えていないが、「黙れ!」と言った記憶がある。
 室内だけにいたらこっちが精神的にやられると思って、外に出た。兄のリクエストにより、JASマートでおにぎりを食べることとした。彼のねらいはもちろんその後のデザートだった。食べてから、地下で食料品を買うと、暇なレジにいたのはおとぼけコンビで、インド系の女の人が先輩で、日本ではないオリエンタル系の女の人は新人らしかった。かごをレジに持ってくると、にこが階段のほうへ走って行き、るいじが追いかけて、そのへんで遊んでいてくれていた。でもいつまた動き出すかしれないので、気持ち急いでいる私のレジを新人が担当すると、古いのが、「魚はそう、そのボタンね」とのんきに言い、続けて「それであなた、魚は好き?」と聞いたのに驚いたが、新人もにっこり笑って「イエス」と答えていた。この古株は、たぬきかなにかに違いないと思った。ゆっくり3品のレジ打ちが終わると、うちの娘がとうとう赤い買い物かごを持って店内を歩き出した。すると、古株はなぜか追いかけた。「ハイ、ベイビー、それ私にちょうだい」「どうしてくれないの?」とさらに追いかけた。人見知りの激しい娘は怖くて逃げていくと、新人がなぜかかごを掴んだ。私はこれはまずいと思って「私がやるので」と言ったとたん、新人はかごをひったくり、娘は割れんばかりに泣き叫んだ。「オー、どうして泣くのよ?」というぼけぼけの声を尻目に上に上がり、ビデオレンタルのコーナーで気を紛らわそうとした。るいじが、「にこは何も悪いことしてないよねえ。」と言った。「あの人たちはどうしてもお店のかごが欲しかった、てことかなあ。」と私が答えた。この時、私は泣く子をなんとかすることしか考えていなかったのだ。まったく泣き止まない中、兄がポケモンのビデオを見たいと言い、そこの会員でなかった私は会員カードを下で作ってくださいと言われた。子供を抱えて下に行くと、たぬきと新人がいて、「まだ泣き止まないの?」と言った。「ビデオを借りたいので会員カードを作りたい」と言うと、「会員番号は?」「無いからカードを作りたいの」「会員番号無いの」「そう」「どこにそういう書類とかあるのかわからないのよね」「もういいです」「明日来てください、いいですねー」子供はまだ泣いていた。兄はむくれた。

 同じようなことがあったのを思い出した。るいじがまだにこくらいのころ、市の図書館で、木製のビーズがワイヤーを通っていく小さいおもちゃを、帰るころになって?んで離さないでいたら、図書館のおばちゃんが来て、るいじの指を一本一本こじ開けて取り返していった。知らない人にそんなことされて、子供はどんな感じがするだろう。責任のある親がそこにいるんだから、親に返させたらいいだろう。親が助けてくれと言ってくるまで、そういうのはしないほうがいいと思う。なんてのも、子を持ったから考えられることで、そうでなければ思いもよらないことですけどね。次回は、私がそういう人の肩に手を置いて、さらに「私がやります!」と、落ち着いて大きな声ではっきり言います。オッケー。

 JASマートを出て雨のぱらつく中公園に行くと、兄の「つまらない、つまらない」が始まった。知ってる。ともだちさえいたら、このアラームは止まるのだ。アラームの鳴る中、友達三件に電話して、出て来れないことがわかった。あきらめて、ずいぶん早めのおやつを食べさせて、少し元気を出したところで、にこが「ぶんこらー!」ブランコに乗りたいと言うので、るいじがサタデースクールで習って来た歌を、にこのブランコを押しながら歌った。「なーべーなーべーそーこぬけ、そーこがぬけたらかえりましょ!」子供の頃私もやったような気がする。歌いながら、るいじとくるんと返ったり戻ったりすると、にこも喜んでやりたがり、ぶんこらから降ろして3人でやった。そうしてやっと楽しくなったところで、るいじが「スクーターに乗りたいから場所移りたい」と、性懲りも無く言って来た。公園に来て、最初にやったのがそれで、そこから「つまらない、つまらない」とこのみんみんぜみが鳴き出したんじゃないか。
 とはいえ、そこに移ってすぐ、電話していた友達のうちのひとりが来てくれたので、「帰るよ」と言われるその時まで、彼は楽しく過ごし、アラームもその間は鳴りませんでした。



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