NYに来て、何かにつけて不便な気がしていた中で、唯一便利に感じていたのがセントラル・ヒーティングでした。
外が20度以下でも、朝布団から抜け出しやすいこと。新潟でも、東京の隙間だらけのアパートでも、起きてストーブをつけたらしばらくは布団から出ませんよ。よほど我慢ができないかぎり、夜中にトイレも行きませんもん。
しっかし、この間朝起きたら、冬の新潟レベルの寒さでしたよ。そういえば昨日から暖房が、付いたり消えたりで変でした。昼近くになっても一向にスチームがシューとも言わないので、お父さんが1階にいるはずのスーパーに電話しましたが、留守電になっていたのでメッセージを残していました。「息子は凍えて、僕の爪先は紫です。連絡ください。」それでも全く返事がないので夕方近くに強い調子でメッセージを残すと、しばらくして「ぜー、ぜー、」という聞きなれたポーランド人スーパー(管理人)が6階まで上がってきた音がしてきました。手も顔も真っ黒にして彼が言うには、この・・っ寒いのにボイラーにひびが入ったんだそうです。この5年間、私の寝床のすぐ側の窓は壊れていて閉まらず、いつも10センチほど上が開いているのですが、直して欲しくても「なにかつっかえ棒をしといて」と言ったきり3ヶ月ほおっておいている彼が、珍しく「問題だ、問題だ」と、問題に取り組む姿勢を見せていました。さーて、それから4日ほどして、あのシューシュー音が始まると、いつもなら夜10時で止まる暖房が、夜も休まずフル回転しています。
暖房がない間、外気は20度前後で、雪が降ってから何日も消えずに残っていました。家、いやアパートで毛布にくるまっていたくとも、子どもの運動にはならず、ひいては親の精神面にもよくないので、外に出ようと近所のダイナーで食事をすると、子どもの機嫌が悪い。「おうち帰る」と言うので、帰る気でトイレにも行かずにいたら、その角にあるハードウェア・ストアで暖房を買おうと寄ってるうちにまた機嫌を悪くして、「公園に行くのだ」と方針を変更してしまった。もともと公園に行こうねと言ってやっとアパートを出ただけに、なんだか行かないと嘘付きになりそうな気がして、トイレが近くて有名な「妊婦」は、それから来る震えにやや焦りながらも東の方へてくてくてく。ちょっとそのへんの遊び場でお茶を濁して・・「昨日と同じ、氷の張った遊び場に行く。」不、可、能、じゃーってば。どこかでトイレを借りないといけないけど、公園のど真ん中を端から端まで突っ切って、その場所に着いてしまった。わくわくしている子どもにどう言うのだ。だーれもいない、その凍った遊び場。あ!誰かがストローラー押して入ってきたぞ!男の子は、厚手のゴム長の底に吸盤を付けたような、あまり見ないかっこいい長靴を履いている。きけばスカンジナビア方面出身の人たち、体感温度0度くらい何でもあるまい。しかし、スカンジナビアのお母さんたちには気さくな印象を受ける。なーんて言ってる場合か。「ねえお母さんもうだめ。」と5分説得して、6階上がるまで我慢できたのには驚いた。妊娠ボケか、帰り道にはトイレを借りるというアイデアが、頭の中からきれいさっぱり抜け落ちていました。 |