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フカフカまんじゅうキック
『おっぱいやめたい』
2004/09/20 UP
おっぱいをやめる時のことを思い出しました。
1歳でやめたらいいと考えていたその1歳の頃とは・・・

コモドオオトカゲでも来たかと思うようなハイハイのびったんびったんという力強い音をさせてやってきて、あたかも冷蔵庫を開けていつものビールでも取り出すかのように、床にのびちゃってる母親のTシャツをめくりあげて、姿を認めると「ははっははっ」とその嬉しさに変な笑い声を発してから吸い付いていました。吸い付いてなお、それを軸にぐるぐる回ってみたり、うーっと言いながら噛んでみたり、ぴたっと止まってにかっと微笑んだり、鼻歌でも歌ってるような音をだしてみたりと、もう決して軽くはない体で弱った母の顔の上をぐるぐる這いずり乗っかり蹴飛ばし、ちょっと他に気を取られたかとほっとしてると5分もしないうちにまた襲い掛かってくるような傍若無人ぶりで、そのおっぱいが付いている当人は「食われ」でもするように怖くなって焦りだしたわけです。

聞けば公園に来ているお母さん達の中に、3歳くらいまで授乳していた人や、そのつもりの人が少なくないのですが、私はもう体力がもたない。なんなんだあれは?1日にあげるおっぱいの回数を減らしたって、あのパワーでやられちゃったらもう・・・。「おっぱいを付けている」イコール「アメフトのゲーム中にボールを持っている」ようなものです。しかし、3歳にもなるとものわかりもよくなり、「やめようね」と説得できるようです。「お願いですから乳をやめないでください」と懇願した子もいたようです。聞き忘れましたが、きっと男の子でしょう。

さて、困ったり焦ったりの私は、他の人の話を事あるごとに聞いてみました。
「どうやっておっぱい終わりにした?」
「1歳になる何ヶ月も前から母乳から売ってるミルクにじわじわ移していったの。今いくつ?あー、1歳超えると難しいのよ。」
「9ヶ月で高熱が出た際、哺乳びんのほうが飲みやすいだろうから、おっぱいやめたいなら今がチャンスだと言われて。」
「おっぱい止まっちゃって。あんたまだ出るの?」
「ある日、おっぱい飲むと吐き出すようになって、それ以来娘は吸おうとしなくなった。」

かかっているドクターにも聞きました。
彼女は小柄でかわいく、主人の冗談もよくわかる人ですが、黒髪のベリーショートにジューイッシュの透けるように白い肌で、大きな目と耳と真っ赤な口紅のせいか、いつもドラキュラを思わせる。ドラキュラの他は、言葉の終わりに急に「にっ」と笑顔を作るのが大島渚みたい。しかしにこりともせずにこちらをまっすぐ見て低ーい声で「じゃあ今1日に何回授乳してんの?」と聞かれたら、「のべつ幕なしで困ってます」と言えず、「そーだなー、5回くらいかなー」ということにしてしまった。彼女のアドバイスは「徐々に回数を減らしていき、号泣したらスキンシップでねばりなさい。」だった。

そしてこれは本だったかどこかのウェブサイトで見たのか忘れましたが、おっぱいに絵を描いて「おっぱい」でなくしてしまう、というのがありました。乳首を真ん中にしてアンパンマンとか描いちゃうんだろうなーと、想像はしました。

授乳に体力が要りましたが、止めるのにも要りましたー。
暇さえあればおっぱいを掴みに来るので暇を作らないように注意を払い、1日5回までに減らすことに成功したわけですが、夜、夜の授乳廃止、朝の2時から6時まで耳をつんざく号泣(壁もつんざけたろう)と、なかなかのタックルを相手にがまんくらべをして、とうとう私が眠りたくて寝転んでしまってそこでゲームオーバー。哺乳びんへのすり替えには年齢が高すぎたみたいで、びんなど相手にしてくれず、だめー。

アンパンマンを描く気になれず、思い余って新潟の母に電話すると、「近所のかあちゃんがたの中に、異物を口の中に感じたら嫌がるんじゃないかと思って糸を乳首に結びつけてみた人がいたけど、子供がそれを面白がってひっぱるんで痛くてだめだったらしい」というのと、「からしが多いみたい」ということだった。しかし、からし。それだけはかわいそうだろうと思って、聞いたことはあっても実行する気にはなれなかったことでした。

1歳6ヶ月、見事フィニッシュを決めたのは、「からし」様でした。
サンライズマートで買ったねりからしを、自分が塗って痛くない程度に水で薄めて塗っておく。朝1番に息子が来てをめくってくわえたところでパッと離す。息子はこっちをじっと見たままぺちゃぺちゃ口を動かすと、突然のけぞりばたばたしだした。私の膝から飛び降りて、狭いアパートのなるべく隅へ逃げて行った。ちょっとすると顔をのぞかせた・・・がすぐに、こちらを見つめながら後ろへじりじり下がっていく。それを5回くらい繰り返していた。何時間かするとまたねだるので、「おっぱいの味変わっちゃったんだよ。憶えてる?」と言ってからまた同じパターンの繰り返しである。何十回も後ろへ歩いて、しかし翌日には「味悪くなったの、憶えてる?」だけでもう口をつけようとはしなくなっていた。ははははは、効果てきめんではないか!

それっきりである。
「顔を描く」気にはなれなかったが、「大大だーい好きなおっぱいをどうしてもやめなきゃならない理由を本人の中に沸き上がらせる」ことができる点で、からしと同様だろう。こういうのは大好きなものが突然悪夢と化すから精神的によくないという記事を雑誌で読んだという人もいましたが、それもそうかもしれませんが、私は根負けしました。しかしその後にとれた睡眠は、嬉しかったです。

同じことで困っていたお母さんたちに薦めたけど、そういえばどうなっただろう。




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